潰瘍性大腸炎

どんな病気?

監修
北里大学北里研究所病院
炎症性腸疾患先進治療センター センター長
小林 拓 先生
大腸の粘膜に炎症が起きる病気です。炎症によって粘膜にただれや潰瘍ができ、以下のような症状があらわれます。
  • 下痢

  • 頻繁な腹痛

  • 血便 (赤い血が混じった便)

  • 粘液便 (ねばねばした便)

  • けいれん性または持続的な腹痛

重症の場合

  • 発熱

  • 体重減少

  • 貧血

  • 頻脈

合併症として、皮膚の症状、関節や眼の症状があらわれることがあります。
潰瘍性大腸炎は慢性の病気で、これらの症状がおさまったり(寛解)、ぶり返したり(再燃)を繰り返します。
潰瘍性大腸炎は、1970年代はまれな疾患とされていましたが、その後増加し続け、現在全国で約22万人の患者さんがいると考えられています。
発症年齢のピークは男性で20~24歳、女性では25~29歳ですが、若年者から高齢者まで発症します。男女で発症率に差はありません。
喫煙者のほうが、喫煙しない人よりも発症が少ないとされています。

重症度分類

潰瘍性大腸炎の臨床的な重症度は、軽症・中等症・重症の三つに分類されます。
重症 中等症 軽症
1 排便回数 6回以上 重症と軽症の中間 4回以下
2 顕血便 (+++) (+)~(-)
3 発熱 37.5℃以上 37.5℃以上の発熱がない
4 頻脈 90/分以上 90/分以上の頻脈なし
5 貧血 Hb10g/dL以下 Hb10g/dL以下の貧血なし
6 赤沈 30mm/h以上 正常
重症 中等症 軽症
1及び2の他に、全身症状である3又は4のいずれかを満たし、かつ6項目のうち4項目を満たすもの 上記の軽症、重症の中間にあたるもの 上記の6項目を全て満たすもの
顕血便の判定
(-) 血便なし
(+) 排便の半数以下でわずかに血液が付着
(++) ほとんどの排便時に明らかな血液の混入
(+++) 大部分が血液
難病情報センター Webサイト「潰瘍性大腸炎(指定難病97)」より
〈参考文献〉
難病情報センター Webサイト「潰瘍性大腸炎(指定難病97)」引用、一部改変(2023年6月現在)
難治性炎症性腸管障害に関する調査研究(鈴木班)「潰瘍性大腸炎の皆さんへ―知っておきたい 治療に必要な基礎知識 第4版」2020年
日比 紀文・小林拓「潰瘍性大腸炎の正しい知識と理解」杏林製薬株式会社、2022年