クローン病

どんな病気?

監修
北里大学北里研究所病院
炎症性腸疾患先進治療センター センター長
小林 拓 先生

クローン病の症状

消化管(口から肛門まで)のどこかに炎症が起こり、それによって粘膜にただれや潰瘍ができる病気です。症状としては、腹痛、下痢、発熱、全身倦怠感、食欲不振、体重減少、下血、貧血、肛門症状などがあります。合併症として、皮膚の症状、関節や眼の症状があらわれることがあります。

クローン病の病型

炎症の起こりやすい部位として、小腸や大腸が挙げられます。炎症の起こった範囲により小腸型、小腸大腸型、大腸型に分類されます。どこで炎症が起こったかによって、症状が異なります。

クローン病の経過

クローン病は慢性の病気で、これらの症状がおさまったり(寛解)、ぶり返したり(再燃)を繰り返しながら、徐々に進行していきます。病状の進行にともなって、狭窄(腸管が狭まる)、穿孔(腸管に穴があく)、瘻孔(腸管に孔があいて腸管どうし、または腸管と他臓器がつながったりする)、膿瘍、肛門病変などが発生することがあります。
発症年齢のピークは男性で20~24歳、女性で15~19歳です。男女比は約2:1で、男性に多くみられます。日本での患者数は2021年度で48,320人です。
喫煙者のほうが、喫煙しない人よりも発症が多いとされています。

IOIBDスコア

IOIBDスコア (International Organization for the study of Inflammatory Bowel Disease)は、クローン病の活動性を判断するスコアです。
1項目1点とし、2点以上で 医療費助成の対象となります。
1 腹痛
2 1日6回以上の下痢または粘血便
3 肛門部病変
4 瘻孔
5 その他の合併症(ぶどう膜炎、虹彩炎、口内炎、関節炎、皮膚症状(結節性紅斑、壊疽性膿皮症)、深部静脈血栓症等)
6 腹部腫瘤
7 体重減少
8 38℃以上の発熱
9 腹部圧痛
10 ヘモグロビン10g/dL以下
難病情報センター Webサイト「クローン病(指定難病96)」より
〈参考文献〉
難病情報センター Webサイト「クローン病(指定難病96)」引用、一部改変(2023年6月現在)
厚生労働省「令和3年度衛生行政報告例(令和3年度末現在)」